基礎:リプシッツ連続性
誤差の伝播を制御するために、関数 $f(t, y)$ が「急激に変化しない」ことが必要です。この条件は リプシッツ条件によって形式的に定義されます。
関数 $f(t, y)$ が、集合 $D \subset \mathbb{R}^2$ 上で変数 $y$ に関してリプシッツ条件を満たすとは、ある定数 $L > 0$ が存在して、
$$|f(t, y_1) - f(t, y_2)| \le L|y_1 - y_2|$$
すべての $(t, y_1), (t, y_2) \in D$ に対して成り立つことを意味します。この定数 $L$ は、関数の縦方向の変化に対する「速度制限」となります。
例 1:リプシッツ定数の分析
集合 $D = \{(t, y) \mid 1 \le t \le 2, -3 \le y \le 4\}$ 上で関数 $f(t, y) = t|y|$ を考えます。平均値の定理(または絶対値の性質)により:
$|f(t, y_1) - f(t, y_2)| = |t|y_1| - t|y_2|| = |t| \cdot ||y_1| - |y_2|| \le |t| \cdot |y_1 - y_2|$.
領域内の $t$ の最大値が 2 であるため、リプシッツ定数は $L=2$ となります。
定義域の幾何学的整合性
穴だらけの定義域では初期値問題(IVP)を解くことはできません。我々は 凸性によって形式的に定義されます。
集合 $D$ が凸であるとは、任意の二点 $(t_1, y_1)$ および $(t_2, y_2)$ に対して、以下の線分が $D$ 内に含まれることを意味します:
$$((1 - \lambda)t_1 + \lambda t_2, (1 - \lambda)y_1 + \lambda y_2)$$
ここで $\lambda \in [0, 1]$ です。これにより、解の経路の一部が有効な計算領域から「外れてしまう」ことがありません。
解の存在と一意性の定理
これらの条件が一致する場合、我々は 定理 5.4を適用します。関数 $f$ が凸集合 $D$ 上で連続であり、かつリプシッツ条件を満たすならば、初期値問題 $y' = f(t, y), y(a) = \alpha$ は 一意な 解 $y(t)$ を持つことになります。これは、オイラー法($w_{i+1} = w_i + h f(t_i, w_i)$)のようなシンプルな手法から、予測補正ロジックまで正当化します:
$WC = w_{i-1} + \frac{h}{24}[9f(t_i, WP) + 19f(t_{i-1}, w_{i-1}) - 5f(t_{i-2}, w_{i-2}) + f(t_{i-3}, w_{i-3})]$.